食品衛生責任者の資格の概要
食品衛生責任者とは、その名前の通り食品衛生の管理に携わるために必要な知識・スキルを備えている職業のことです。
食品衛生法では、一部を除く(食品の輸入業など)食品を扱う営業者は、必ず食品衛生責任者を定めることが義務付けられています。
当然のことながら誰でもこの責任者になれるわけではなく、食品衛生に関わる一定の知識・スキルを備えている証明するための資格が必要になります。
しかも食品衛生責任者になるための資格はに複数の選択肢があり、どの資格で食品衛生責任者を目指すかによって取得のための準備や対策が異なってきます。
この食品衛生責任者の資格の選択肢に関しては、大きく2つの種類に分けることができます。
ひとつは、「食品衛生責任者」になることができる食品関連の資格を取得する(または取得している)ことです。
調理師、栄養士、製菓栄養士、船舶料理士、食鳥処理衛生管理者などが該当する資格として挙げられます。
そしてもうひとつが、上記の資格を保有していない人が食品衛生責任者としての資格を取得するパターンです。
こちらの特徴は、講習会を受講することで取得が可能な点です。
講習会は「食品衛生学」「食品衛生法」「公衆衛生学」の3つの分野で行われ、それぞれにおいて専門的な知識を習得していきます。
そして最後に確認試験が実施され、それに合格すれば資格取得となるのです。
きちんと講習を受けたうえで確認試験を受ければ合格率はほぼ100%ですから、難易度はそれほど高くない資格とも言えます。
食品衛生責任者の資格の工場での活かし方
資格取得はそれほど難しくない以上、取得したうえで資格や知識をどう活かすかが重要になってきます。
とくに工場においては、扱う食品はもちろんのこと、工場全体の衛生状態を管理する重要な役割を担うことになります。
こうした環境での活かし方では、まず食品衛生を維持できる環境づくりが第一となります。
消毒・清掃の徹底はもちろんのこと、原材料の品質(劣化の問題など)、さらに従業員の手洗いをはじめとした衛生意識の啓発などを日々の業務の中で行っていくことになります。
そしてもうひとつ、食品衛生責任者の現場における重要な役割として挙げられるのが、従業員の健康状態の把握です。
例えば感染症で体調不良の従業員が無理をして働いていると、その人が持ち込んだ病原菌が衛生環境に影響を及ぼす恐れが出てきます。
さらに冬場はウイルスがもたらす食品の衛生状態と従業員の健康被害の両方のリスクが増すので、重要になってきます。
つまり、食品衛生責任者が食品衛生の観点から従業員の休憩や休息の必要性を判断することで、職場全体の従業員の労働環境の改善にも役立つわけです。
これも食品衛生責任者の知識・役割を工場の現場で有効に活用する上での大きなカギとなるでしょう。