ちくわの歴史
かまぼこと共に、ちくわも日本ではかなり古くから食されてきました。作り方はかまぼことほとんど変わらないちくわですが、形が竹の輪に似ていることからこの名前が付けられました。
ちくわはかまぼこと同じ「練り物」で、魚のすり身に塩を加えてひたすら練った後に焼くという非常にシンプルなレシピです。ちくわに使われる魚にはタラが多く、そのため色は焼きめを除いて基本的に白です。
タラの中でもスケトウダラが多いのですが、その他にタイ類やハモ、ホシザメ、グチ類やオオギスも材料としてよく使われます。
山口ではエソを原材料にしたちくわが好んで作られますが、エソで作られたちくわは最高級品とも言われています。
歯ごたえやエソの味がちくわやかまぼこにはぴったりなんですね。
また、笹かまぼこで有名な仙台かまぼこやちくわには原材料としてヒラメが使われていたそうです。
ちくわ笛の楽しみ
ちくわはもちろん食品ですが、なんとちくわ笛としてちくわを楽しんでいる人たちがいます。
形状的には笛に近いちくわですが、これで笛を作って奏でるのが住宅正人(すみたくまさと)さんという方です。
気象予報士、実業家という肩書も持つ住宅さんですが、ちくわ笛奏者としても日本各地で活躍をしています。
民謡おてもやん全国大会の男性部門で優勝した他、民謡岡崎五万石全国大会でも準優勝したという実力の持ち主です。
住宅さんは倉敷市の美観地区に2007年にオープンした桃太郎のからくり美術館の館長でもあり、さまざまなテレビ番組でも紹介されています。
ちくわ笛の作り方は簡単で、まず上端を45度の角度に切って吹き口を作ります。
音階を調節する穴は表側の中央にひとつ、上方にひとつ、下にふたつ開け、裏側にもひとつ開けます。
実際に手で持ってみて押さえやすい位置に穴を開けることが大切です。
ちくわ笛に使用するちくわは長さが15cm以上、水気が多くて新鮮な太めのものがおすすめです。
ちくわの中にはつなぎに小麦粉を使っているものもありますが、できるだけ高級品でつなぎの少ないものの方がいい音が出ます。
神戸市のちくわ笛音楽祭
神戸市では世界の三大フルートコンサートのひとつである「神戸国際フルートコンクール」を開催していますが、これに合わせてちくわ笛を作って奏でるちくわ笛国際音楽祭も行っています。
ユーモラスなちくわ笛は誰でも作ってみることができますから、子どもと一緒に家で作ってみるのも楽しいものですね。
作りながら切り落とした端を食べる楽しみもあります。
古い歴史がありながら、最近はハンバーグなどの洋食に押されてすこしなじみが薄れてきているちくわですが、こういった機会にその良さを見直してみるのもいいのではないかと思います。