天然色素のコチニール色素
かまぼこの原材料は白身の魚や卵白ですので、白色が基本です。
紅白のおめでたいかまぼこやナルトなどは、色素を使っているためきれいなピンク色になります。
かまぼこをピンク色に染めるために主に使われるのは「コチニール色素」と呼ばれているものです。
コチニール(cochineal)というのは、南ヨーロッパに生息しているケルメスカイガラムシや、メキシコに生息しているコチニールカイガラムシなどを使用した色素のことです。
日本では「エンジムシ」と呼ばれるコチニールが、染料として使用されてきた歴史は非常に古く、1400年から1500年頃のインカ帝国やアステカ帝国などでもコチニールカイガラムシが染色用として養殖されていたという記録が残っています。
コチニール色素はかまぼこの他にも、かき氷のシロップ、いちご味のヨーグルトなどに使用されています。
コチニールはサボテンの葉の表面に生息していることがほとんどで、熱湯で煮沸したあと天日で乾燥させ、水やエタノールで色素を抽出します。
アレルギー反応の恐れ?
南アメリカだけではなく中国やインドでも昔から使われてきたコチニールですが、先ごろ消費庁から「コチニール色素に関する注意喚起」が発表されて話題を呼んでいます。
コチニールの安全性に関しては、FAO/WHO合同食品添加物専門家委員会によって一日摂取許容量が5mg/kg体重と判断されています。
アレルギーを引き起こす心配はないというのが、JECFAの判断です。
日本の消費庁がわざわざ注意を喚起したのは、「CC38K」と呼ばれるタンパク質をエンジムシが生成するという理由からです。
とはいえ、日本国内で使用されているコチニールは精製度が非常に高く、タンパク質はほとんど除去されていますので、アレルギー反応を引き起こす心配はまずないと思っていいでしょう。
気になる方は、かまぼこ店の広報部に直接問い合わせててみるのもいいでしょう。
コチニール色素以外の色素
かまぼこに使われる色素には、コチニール色素以外にもラック色素などがあります。
ラック色素はアジアに主に生息しているラックカイガラムシを使用したもので、コチニール色素と同様にきれいなピンク色に発色します。
くちなし赤色素は植物性ですので、カイガラムシを使用したコチニール色素やラック色素よりもイメージ的に優れています。
ただし、やや紫がかったピンク色に発色する点がややネックとなっています。
ベニコウジ色素を使用した場合には耐熱性に劣るなど、解決すべき問題はたくさんあります。
普段何気なく口にしている食品の多くには色素が使用されていますので、これを機会に食品の原料を今一度よく確認してみるのもいいかもしれません。
食品成分表示をよく読む習慣をつけるのがおすすめです。